◇◆ 「ホントウノサイワイ」 ◇◆
 
「蜂洞」
対馬では木で作った筒を山の中に設置して、蜂に巣を作らせます。蜂は筒の内側に板状の巣をたくさん作ります。それには蜜が一杯ついてます。ころあいを見て筒の蓋を開け、蜜のたっぷりついた巣を取ります。この巣ごと食べることができます。その甘さといったら!市販のハチミツは買えません。レンゲがたくさん咲いた年は特に甘くなります。その巣を取る時に全部とってしまうことはしません。蜂が食べる分も残しておくわけです。いいすね。蜂の分残しとくなんて。自然と人間の共生って感じがしません?
 
「さなぶり」
対馬には「さなぶり」という風習があります。農繁期を終えてお疲れ様という意味を込めて各家でぼたもちやぜんざいなどを作って食べます。東北の農家が行う「芋煮会」と主旨は同じです。甘いものを食べる理由はハードな農作業で疲れた体に糖分を補給して疲れを癒すためです。昔からの風習には科学的な理由もあるんですね。
 
「隣組」

これはいわゆる町内の住民区のそれではなくて、田舎の隣近所の集まりのことです。田舎では隣近所の人が家族の延長のような存在に感じることが多々あります。例えばお葬式があった場合、近所の人が集まってあっという間に仕事の分担が決まり、みんなで協力して事を運びます。全くたのもしいの一言です。隣の人と会話すらしない都会の生活では考えられないような暖かい人と人との交わりがそこにはあります。昔は日本中がそうだったんでしょうが...。
 

「山の神様の祭り」
これまた対馬では、農繁期が終わると山の神様に感謝するために、山の中に作った祠の前で飲んだり食ったりします。そして若いもんはそこで相撲をとったりします。いわゆる奉納相撲の一種ですね。ちなみに今ではやらないそうな。怪我人が出るといけないからって。昔の人は怪我せんかったんかー。何でも危ない危ないとか言ってやめにしてしまうのはちと寂しいですな。
祠の前で飲み食いする意味は、山の神様への感謝と同時に自分たちのお疲れ様会の意味もあるわけですね。肉体労働っていいすねー。でもこういう慰労の会を持つのも分かりますよ。うちのおやじが若い頃耕してた田んぼっていうのは、野球場が4個くらい入るようなとてつもない広さでした。ひぇー!うそやろー!って思います。そりゃ収穫終わったら慰労会したくなるわなって感じです。昔の人の労働量というのはとてつもないものですね。やっぱ現代の我々は”やわ”ですよ。
 
「かまど」
えしぇ蔵が幼稚園くらいの頃までは、実家にまだ土で作ったかまどがあって、それを実際に使ってました。時々おふくろがそこでセイロを使って赤飯とか炊いてましたね。竹の筒でかまどの火を吹くんですよ。テレビで見たことあるでしょ?もう今では家も建て替えてかまどもありませんが、もし当時の製法で作ったらさぞかしおいしいでしょうね。かまどはお風呂と一緒に母屋から離れたとこにありました。もし火事になった時に母屋に火が移らないようにするためだそうです。だからえしぇ蔵が子供の頃はお風呂に入るのに一度家を出てお風呂のあるとこまで行くわけです。冬場は辛いすよ。家を改装して母屋の中に風呂が出来た時は感動しましたね。でも今思えばそういうのも趣きがあっていいですね。
 
「いのこ」

対馬の風習です。11月の戌の日の夜に子供達が紐をつけた大きな石を持って各家をまわります。家の前に来るとその石を地面に突きながら「祝いまっそぉ〜」という出だしで昔から伝わる歌を歌います。その家の幸福を祈る歌です。歌が終わるとその家の人が子供達におこづかいをあげます。そうやって1軒づつまわって、最後にもらったおこづかいをみんなで分けます。どこかアメリカのハロウィンに似てますね。いやぁいいもんだ。
 

「蜂洞 その2」
蜂洞に巣を作ってた蜂たちはたまにお引越しをします。それは外部から攻撃を受けた時や、新しい女王蜂が生まれる時などです。大挙してワンワン羽音を響かせて黒い固まりになって飛んでいきます。結構迫力ある光景です。そしてその集団がとまった木が敷地内にある家の人が、その蜂たちの蜜を採る権利を得ることができます。つまり誰が蜂蜜を得ることができるかは蜂たちが決めるわけです。蜂たちも何らかの理由で家を選んでるらしく、素通りされる家もあれば、何度もやってくる家もあります。こんな形で人間の生活と自然のいとなみが接点を持つことは昔はよくありました。
 
「おごかき」
対馬の一部地域では、1年に1回春になるとおごかきという行事がありました。"おご"というのは、浴衣とかの洗い張りに使う"ふのり"の原料になる海ののりの一種です。岩にひっついてるのをこすってとって集めるわけですが、これを村ぐるみでやります。一軒の家から一人づつ参加します。みんなで一生懸命集めたおごを売ってお金に換えます。そしてそのお金を村の行事のために使うわけです。素晴らしい!みんなで協力して汗を流して自然から得た物をお金に換えて、みんなのために村の行事に使うなんて!これはえしぇ蔵のおやじの若い頃にあった行事らしいですが、残念ながら今はありません...。
 
「石まて打ち」
"石まて"というのは、岩の中に入り込んでいる珍しい貝で、マテ貝の一種です。岩の外ではなく完全に中に入り込んでるので、半ば岩と一体化してるような状態です。小さい空気穴が岩の表面に開いているのでそれでその岩に石まてがいるかどうかを判断するわけですが、慣れてる人でないととても分かりません。見つけたらかなづちとかの道具を使って岩から出します。苦労の割にはほんのちょっとしかとれませんが、この貝がそれはそれはいい出汁がとれるとのこと。そのために三月の節句の料理にはかかせないものだったそうです。とってきた石まては茹でて干しておくそうです。昔は冷凍なんてできないのでそうして保存したそうです。そして必要な時に出汁として使ったとのこと。これも昔話として聞きましたが今でも岩の中にいるのでしょうか?いるといいなぁ。
 
「白魚とり」
春の風物詩ですね。対馬でももちろんとれます。海の潮がひいた時には細い流れがいくつか残ります。その流れを覗いてみるとたくさんいるわけです。それをかやをつかってすくいあげます。網は昔高価だったのでもっぱらかやだったそうです。えしぇ蔵も小さい頃にはよく連れて行かれました。簡単に大量にとれてました。仕事としてとる人たちはしかけを作ってとってました。今では漁協の管理が厳しく、一般の人が自由に海の幸、川の幸をとることは できません。お金を払って許可を得てからでないと駄目です。なんかちょっと寂しいですね。
 

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