この日記は全てノンフィクションであり、登場する人物・団体名などは全て実在のものです。
1月
1月31日(土)曇りLed Zeppelin
あぁZepなしでは生きられない・・・ここ2週間ほどハードロックは聴いてなかったのでまさに、It's been a long time since I rock and roll 〜♪って感じやな。
 
ガルシアしゃちょー宅へお邪魔して新しいパソコンのセットアップ。しゃちょーはワシの顔を見て、「ん〜初めて出会った頃に戻った感じね」と言われた。それって若返ったってこと?嬉しいねぇ。
ガルシアしゃちょーのパソコンのことでヨドバシカメラでうろうろしてたら「マツノデザイン店舗建築」のセガールしゃちょーに会った。
 
セガールしゃちょー:「しんぐさん、しんぐさん、なんしよーと?」
ワシ:「おぉー!しゃちょー!見て下さい。治ったでしょ?」
セガールしゃちょー:「え?あー!あー!治ったー!治ったー!色男が帰って来たー!」
ワシ:「あはははは!」
セガールしゃちょー:「わーよかったねー。すごいねー」
 
なんだかお客さんみんながすごい喜んでくれるのがしみじみ嬉しい。胸の一番奥のほうにずきーんとくる。今日、「質みよし」の社長に電話で報告したけど社長もずっと心配してくれてたみたいですごく喜んでくれた。
あぁなんだかなぁ、ワシはお客さんに恵まれすぎてるよまったく。毎日感謝の想いでいっぱいだ。
 
お昼はガルシアしゃちょーが、「先生、退院祝いでおごるわ」というのでのこのこついていったら、プロのスカッシュの選手も一緒だった。スカッシュの世界の興味深い話をいろいろとうかがった。なんの競技にしろプロの選手ってのはかっこいいやね。
 
「情」
 
病えて
情学びし
四年かな
 
1月30日(金)雨なし
本日は「ウイルホーム」さん、「Rプランニング」さん、「システムハウス」さん、「戸次染工場」さん。
退院してからはみんなのワシの顔を見た時のリアクションが面白い。「ウイルホーム」さんでは社長が「その先生は大したもんやねぇ」と感心し、営業のSさんは「おー!治りましたねー!」と驚いていた。奥さんは「へー!きれいに治るもんですねー!」としげしげと眺めていた。「システムハウス」さんではTさんが「全然手術したってわかりませんよ」と不思議そうに見ていた。こういうみんなのリアクションを九大病院口腔外科のS先生に見せたいもんだ。
 
太田自動車鈑金」さんに車検に出してたリカちゃんが戻って来た。クラッチとタイヤを交換してもらい、かつての勢いを取り戻した。太田さんからあと2年はいけるというお墨付きをもらったので、買い替え案はしばらくお蔵入り。
 
「新しき」
 
新しき
顔新しき
心にて
見るものすべて
新しきかな
 
1月29日(木)雨Jule Emile Frederic Massenet
ヘアーショップ ムーヴ」さん、「ユーキハウス」さん、「アルファホーム」さん、「センチュリー21 小笠原」さん、そして新しいお客さんの「大新住宅」さんとまわった。今日も行く先々でお祝いの言葉を頂いた。特に「アルファホーム」の浦部専務と「センチュリー21 小笠原」の小笠原専務は自分のことのように喜んでくれて、ジーンとくるものがあった。
 
今日の最後に訪問した「大新住宅」さんは、11社目の不動産のお客さん。またまた「ウイルホーム」の太田社長のご紹介。もはや不動産関係のお客さんだけで売上の3分の1を占めるまでになった。すごいやね。やはり宅建とるべき?
 
唇の感覚がまだ戻らないので食事の時に食べこぼしてしまう。傷が完全にふさがれば少しリハビリしないといけない。
 
「美のものがたり」
 
桐壷の
門をくぐりて
目に映えし
あやなす源氏の
美のものがたり
 
1月28日(水)晴れJohann Sebastian Bach

仕事に復帰。「三開発」さん、「太田自動車鈑金」さん、「福岡大手門」さん、個人のWさんとまわった。
行く先々で、「きれいになったねー」「治ったねー」「わーすてきー」「よくなったねー」「すっきりしたねー」と言われる。喜びがじわじわと湧いてくる。「福岡大手門」さんでは、「しんぐさんはいい人やけん、みんなの『治って欲しい』ていう想いが通じたんですよ」と言われて感動した。最後にお邪魔した箱崎のWさんとは10年近いおつきあいだが、たまたま腫瘍ができていた期間はお会いしてなかったので、ワシの顔を見て「え?どこを手術したんですか?」と言われた。
九大病院口腔外科のS先生の凄さをとみに感じた一日。
 
飯塚の古本センターに寄って、谷崎潤一郎訳の源氏物語を買った。全巻が一冊になっており電話帳みたいな厚さ。持ち運びはきついので自宅で少しづつ読むつもり。
 
「雅の旅路」
 
心はやり
ひもとく源氏の
ものがたり
今ぞ踏み出す
雅の旅路
 

1月27日(火)晴れBiliana Vuchkova
最終日。朝、唇の表側だけ抜糸してもらった。溶ける糸で縫ってあるので抜糸の必要はないのだが、表側は目立つので先生が体裁よくしてくれた。担当のG先生が、「日記見ましたよ。なんか自分が出てると恐縮しますね」と言われてた。本当は先生方の実名を書いて、その素晴らしい仕事ぶりを多くの人に伝えたいのだが、G先生と検討した結果、イニシャルにとどめておくことにした。だがイニシャルとはいえ、九州大学病院顎顔面口腔外科の仕事の素晴らしさは伝わったかと思う。
10時前に全ての手続きを終えて退院。こうしてワシの人生初の入院生活は無事終了。
 
ワシにとってのブラックジャックである執刀のS先生、外来担当のK先生、手術を勧めてくれたS先生、担当のG先生とN先生、天使のごとく優しく美しい看護師の皆さん、その他九大病院で働く皆さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
同室だったMさん、いろいろとご指導ありがとうございました。九大病院口腔外科を紹介して下さった「梶原歯科」の梶原先生、ありがとうございました。
お見舞いに来て頂いた皆さん、お花を頂いた皆さん、電話やメールを頂いた皆さん、祈ってくれた皆さん、本当にありがとうございました。
対馬の両親、金沢の両親、姉貴、兄さん、もえちゃん、長崎の兄貴、みんなみんなありがとう。
そして、主イエスとともに常にそばにいてくれた姫!ありがとう。
(なんかオスカー受賞のスピーチになってしまった。)
 
主に感謝します。
  
皆さんのおかげでえしぇ蔵はもとの顔に戻りました。
 
些か名残惜しい九大病院を後にし、「中国鍼灸院」の呉先生を報告がてら訪問。入院生活で痛めた腰の治療をしてもらった。先生は箱崎宮でワシの手術成功を祈ってくれたそうな。あぁ涙滲む感動・・・。(先生、ありがとうございます。)
先客が1人いて、「えしぇ蔵も知ってる人ヨ」と先生が言うので誰かと思えば高校の同級生だった!実に22年ぶりの再会!いやぁ懐かしかった。当時美人で有名だったが、今も変わらず美人だった。しばし想い出話に花が咲いた。
今日、先生に詩を頂いた。昨日は旧正月だったのでそれにちなんだ詩。
 
「春節」
 
呉 炳宇
 
黄帝観月定歴法
今日正月慶新年
 
黄帝は月を観て暦を定めた
今日は正月新年を慶ぶ
 
ベジキッチン」のカフェでコーヒーと谷崎潤一郎を楽しみながら姫のバイトが終わるのを待っていたら、ゴトー先生が退院祝いということでいきなり団子を下さった。いきなり団子というのがなんとも先生らしい。(先生、ありがとうございます。)
 
今日はゆっくりしようと思ったが入院生活で身体がなまってむしろ動かしたいので「東部ハウジング」さんに急遽電話して訪問した。到着すると、「オメデトウゴザイマース!」とみんなでクラッカー鳴らしてくれて、花束まで頂いた。マジ泣きそうになったくらいに感動した。(N嶋さん、A貞さん、Oさん、Kさん、ありがとうございます。)
 
家に帰ったら、ハニーさんとじゃび子が花束持って御祝いに駆けつけてくれた。二人ともワシの唇を見て、「すごいきれー!」とビックリしてた。(二人ともありがとうね!)
 
まだ腫瘍のない自分に慣れない。ガラスとか鏡に映る自分の顔がふっと見えたりすると、「あ、そうか、もうないんだ」と思ってしまう。だが喜びはじわじわと湧いてきた。
 
生きてりゃいろいろあるわな。嬉しいこともいっぱいあるわな。生きてなきゃ味わえんがな。
 
「新しき我」
 
街並みは
変わらぬままに
ありつれど
異国に見えし
新しき我
 
1月26日(月)曇りSting
11日目。ついに明日退院と決まった。経過は順調すぎるくらいだそうな。
 
今日は回診の日。前回とは違う先生だった。ワシの唇を見て「おぉさすがS先生だ」と言われていた。S先生の技術にはどなたも一目置いているということだろうな。
 
本日の御見舞いはビクトリアとめ(旧:まっそーあきこ)と「戸次染工場」の戸次さん。とめは営業で外回り中に寄ってくれた。「すごいキレイになったねー」とビックリしてた。(とめ、ありがとうね。嬉しかったよ。)
戸次さんは今月は非常に多忙なのにわざわざ時間作って頂いて恐縮千万。ワシの顔みて自分のことのように喜んで下さった。(戸次さん、お忙しいのにわざわざありがとうございます。)
 
水曜日から行動開始する。そのために今日はアポイントの電話しまくり。ワシの退院を皆さん喜んでくれた。ワシは本当にお客さんに恵まれている。復帰を待ってくれてるなんて、商売人にとってこんなありがたいことがあろうか?感謝の表現が見つからない・・・。
 
「朝陽」
 
夜過迎朝陽、(夜過ぎて朝陽を迎え)
窄川入大洋。(窄川は大洋に入る)
山高眺更遠、(山高くして眺め更に遠く)
受苦心能強。(苦しみを受けて心強くなる)
 
1月25日(日)曇り時々雪Glenn Gould
10日目。外は雪。持参したパール・バックの「大地」を読了。偉大な作品だ。しかし長い話なので矛盾をいくつか発見。非常に面白かったし、内容的にピューリッツァ賞をとったということも納得できる。しかしノーベル文学賞まで貰ったというのはちょっと・・・?
 
昨日、経過を診に来てくれたG先生が、「すごいきれいな唇になりましたね」と言ってくれたので、「正直自分でもここまできれいになるとは思ってませんでした。ありがとうございます」と言ったら、「それを言ってもらったら私らも嬉しいです。審美的なものは個人ごとに評価の基準が違いますんでね。なかなか納得してもらえない患者さんもいますんで」と言われてた。見た目に関することは上を言い出すときりがないだろう。全部整形してモンゴメリー・クリフトみたいになれればそりゃ嬉しくて人生も変わるだろうけど、大事なのは普通であることのありがたみを知ることだ。
 
ワシの部屋は7階の北棟の4人部屋。1人あたりのスペースがめっちゃ広い。部屋ごとにトイレと洗面所がある。介護が必要な人用のトイレはまた別にある。風呂は普通の風呂と介護が必要な人用の2つ。7階北棟の半分が口腔外科で、入口にナースセンターがある。その周囲に処置室と談話室。北棟と南棟を結ぶ通路の部分にエレベーターホールとデイルームがある。デイルームというのはいわゆるラウンジでかなり広い。北向きなので上の階にいくほど海が見える。
敷地内にはまだ以前の建物がいくつかある。新旧同居した状態。歯科以外の外来は旧建物のほうだがこれも今年9月には病棟の横の新しい建物に移転するらしい。そうして徐々に脱皮していくわけだな。膨大な費用がかかったんだろうな。親方日の丸の成せる業か?
 
朝飯食ってぼーっとしてたら昼飯になる。昼飯食ってぼーっとしてたら晩飯になる。晩飯食ってぼーっとしてたら消灯になる。眠ったら朝になる。このままじゃボケる!
 
本日の御見舞いは「太田自動車鈑金」の太田さん。ワシは本当に太田さんの人間性には羨望すら覚える。社会人として商売人として男として、太田さんみたいな人格でありたいと思う。(太田さん遠路はるばるありがとうございます。)
 
経過が順調なので退院が早まるかもしれないとのこと。
 
「病床の花」
 
病床の
花のしをれて
寂しけり
 
1月24日(土)曇りのち雪Glenn Gould
9日目。快食快便快眠。肉体的精神的に健康そのもの。
 
室温は常に快適なので外が寒いのかどうかがわからない。だが今日は見た目にも寒そうだ。雪がすごい。
 
天使のようなかわいい看護師さんがたくさんいる。採用基準にルックスも関係するのか?とも思う。あるいはそうかもしれない。人を癒す仕事だから不細工じゃ務まらないか。それにしてもみんなよく働く。わがままな患者の世話を愚痴ひとつこぼさず黙々とこなし、様々な要求に真摯に対応する。それも長時間。夜勤の時は16時間というから驚く。大したもんだ。
(九大病院に限らず、看護師という職につく全ての方に敬意と感謝の意を表します。)
 
入院中ずっと音楽のない生活が続いたが、一番最初に聞きたいなと思ったのは、Glenn Gould の「Goldberg Variations」だった。姫に持って来て貰って聞いた。和むねぇ。病床にはバッハだねぇ。
 
本日の御見舞いはM島さん。完成した城めぐりのCDを持って来て下さった。(M島さん、雪の降る中わざわざありがとうございます。)
 
対馬の姉が電話で萌ちゃんの新ネタをくれた。
 
姉:「こないだね、学校で面接の練習があったとよ」
ワシ:「うん」
姉:「そこでね、先生に、『はい』とか『いいえ』とか『その質問には答えられません』とかはっきり言わないけんぞって言われとるとよ」
ワシ:「うん」
姉:「それで先生が、『あなたは文化部長をしている時に何を学びましたか?』っていう質問をした時に、もえはじーっと考えてから、『その質問には答えられません』て言うとるとよ!(笑)そこにおった人全員がずっこけたって。『お前、そこは売り込むとこやろーが!』て言われたって」
ワシ:「あはははは!」
姉:「もえがね、『だってなんて言っていいかわからんかったちゃもん』て言うたら先生に、『複雑な家族の事情とかを聞かれた時とかにそのセリフは使いなさい』て言われたって(笑)」
ワシ:「もえちゃんさ、吉本興行とかがいいっちゃなかろうか?」
姉:「いや、本人はふざけとる意識はないけんねぇ」
 
まさしく天然というやつだな。
 
唇の形がだいぶ落ち着いてきた。自分の顔じゃないみたいだ。4年近く背負った重荷をようやく下ろしたような気分。縫合した部分には痛みもしびれも全くない。なんだか魔法のようだ。
 
「学び」
 
過ぎ去りし
四年の試練に
学ぶこと
われ独りにて
生くるにあらず
 
1月23日(金)曇りなし
8日目。経過は順調。入院してから日記のアクセス数がすごい。手術の日はピークだった。感謝感謝・・・。
 
今日は回診の日。口腔外科の一番のボスが全患者を順番に診る。まわりにずらりと並ぶ若い先生方。さすがだねぇ。大病院の雰囲気だねぇ。ボスと呼ばれる先生はご高齢で今年引退らしい。人生を医の道に捧げられたわけだ。素晴らしいねぇ。
 
06:00 起床(手術前後は検温)
08:00 朝食
12:00 昼食
14:00 検温
18:00 夕食
20:00 検温
21:00 消灯
 
歯磨きは起床時、毎食後、就寝前の5回。入浴の時間は午前と午後が毎日交互になってる。食事の配膳の人、掃除のおばさん、売店の御用聞きと、いろんな人が出入りする。至れり尽くせりだ。
患者の数よりも働く人の数に驚く。担当の看護師さんがつくのでその人がずっと世話してくれると思ったら、夜昼当然交替するし、昼も次々に違う人が来て世話してくれるのでなかなか本来の担当の看護師さんの番がまわってこない。まだ2回くらいしか見てない。世話してもらった看護師さんは既に10名以上。医師の先生も外来担当のK先生、手術の執刀のS先生、担当のG先生とN先生・・・とにかくすごい人数だ。さすが大学病院だ。
 
本日の御見舞い。「和白バプティスト教会」の黄先生、なすさん。黄先生には「違う人みたいでビックリしました」と言われた。なすさんは杖をついて来たからどっちが見舞いかわからない状態で、なすさんの病状の話ばかりしてしまった。
(黄先生、なすさん、ありがとうございます。)
 
「鏡」
 
面識の
浅き鏡の
中の我
 
1月22日(木)曇りなし

7日目。朝目が覚めたら唇が治ってたという夢をもう何度見たか数え切れない。その度に覚醒後の落胆が辛かった。だが今朝は、今朝こそはそれが現実になった。看護師の人が見間違えたくらいに変わった。担当のN先生にも「唇きれいですね。順調ですよ」と言われた。ワシは本当に生まれ変わったのだ。今から別の人生を歩むかのような新鮮さが身体にみなぎる。
それにしても見事な技術だ。執刀のS先生は唇の手術に関してはかなりの腕を持っていることは事前に聞いていたが噂に違わずだ。昨日術後に様子を見に来てくれたS先生が、「唇いい感じになりましたね」と言って去って行った後姿は強烈にかっこよかった。男が仕事を終えた時の背中だった。姫がぽつりと「やり甲斐のある仕事やね・・・」と言った。
 
昨日から食事はお粥。病院食にも慣れてきたのかそんなに悪く感じない。毎回完食。健康状態は極めて良好。
 
今日はもっぱらメールの返事に忙しい。たくさん頂いて、パソコンの画面が滲む思いだ。あぁ本当にたくさんの人に支えられて生きてるんだなと痛感した。いきがって己の道を歩んでるつもりだろうが、ちょっとつまずいたらこのざまだ。そしてそこで差し伸べられる多くの手を前にして己の弱さを思い知るわけだ。あぁつまりこういうことなんだな。生きるってことはな。あいだみつをなんだな。
 
「憂いの霧」
 
鉛色の
憂いの霧は
薄らぎて
行く末照らす
日のまぶしさよ
 

1月21日(水)曇りなし
6日目。運命の日。オバマ就任の日に手術か。忘れられない日になるな。外は曇り。
 
車椅子で3Fの手術室へ向かう。姫もとことことついてくる。手術室に通じる大きな扉の前で「ここからご家族の方とお別れですので何かお話になることがあれば・・・」となんともせつないことを言われ、「生まれ変わってくるよ」と言ったらみんな笑ってた。
そしていざ、手術室へ。既にそこにベッドのようなものがあるから「あぁここでやるんだ」と思いきや、ノンノン、これはきっと緊急の患者の手術前の処置かなんかするとこだろうな、そこからずずずいと奥までご案内。ものものしく金属的な冷たい雰囲気の中を移動する。両側に手術室がずらりと並ぶ。一体いくつあると?ワシは19番だったからそれ以上はあるんだろうな。まるで007が潜入した敵の秘密基地のような感じ。人質を探せ!
19番の手術室へ入ると自分でベッドへ移動。みんなてきぱきと準備に入る。点滴の針が入らないのには閉口した。痛いっつうの。担当の人は入らないからあせってなお入らない。4回目でようやく成功。ワシにしてみればこれが一番の山だったな。
酸素マスクをつけられるが逆に息苦しい。外してくれとも言えんしな。点滴から薬が入り始める。少しぼぉーっとし始める。「意識がある間は返事して下さいね」と言われ「はい」と返事するが、意識が飛びそうな感じはない。ワシ麻酔効くとかいな?と考えていたら・・・「しんぐさん、終わりましたよ」と言われた。は?気付いたらいつものベッドで搬送されているところだった。おぉすごいね!全身麻酔はすごいね!華岡青洲はすごいね!
顔の手術だからさぞかし「ジョニーは戦場へ行った」みたいな感じで顔中包帯なんだろうなと思ったが、唇の内側にも外側にも何もなかった。不思議なもんだ。だから術後の結果がすぐわかる。姫が「おぉ!カンナさん大成功ですって感じよ」って言うからまぁいい感じなんだろう。まだ自分で繁々と眺める勇気はない。
部屋に戻ってからはしばらく点滴があったがすぐに身体は普通に動かせた。歩いてもふらつきはない。Everything is OK.
 
はぁやれやれだ。嶮しい峠は知らないまま越していた。あとは傷の回復を待つのみ。
 
ちなみに麻酔の間に見た夢。
昨日、アルフレッド・ヒッチコックの「白い恐怖」を見た。その中で夢を分析するシーンがある。その夢の中の世界のデザインがサルバドール・ダリだった。幻想的なダリの世界が非常に印象に残った。その夢の中の世界がまさに麻酔中の夢だった。グレゴリー・ペックになった気分だった。
 
(御見舞い、応援、激励、アドバイス・・・本当に沢山の方に頂きました。ありがとうございました。おかげさまで無事に終了しました。心より御礼申上げます。)
 
「峠」
 
我四十
未だなかばの
旅なれど
いま越え過ぎし
憂いの峠
 
1月20日(火)晴れのち曇りなし
5日目。今日は何もない。同じ病室の人が2人手術。「頑張って」と声をかける。まるで先に前線に行く戦友を見送るような心境。明日はワシか。
麻酔医が明日の麻酔の説明に来た。麻酔が原因で死亡する確立は10万人に1人らしい。麻酔に拒否反応を示すのはなんていうんだっけ?たしかブラックジャックに出てきたよな・・・忘れた。
夕食は姫がビビンバの具を持って来てくれた。病院食の御飯に混ぜてビビンバ。うまいねぇ。
地下にある売店に初めて行った。なんでもあるやねぇ。パンがブリオッシュだった!すごいではないか!これからちょくちょく買うとしよう。ハーゲンダッツもあったし。フフフ。
 
さて、明日が正念場だ。4年越しの腐れ縁のくそったれ腫瘍ともおさらばだ。少しでもまともな顔になるといいんだが。主よ、あなたの弱き子羊を守りたまえ。
 
「祈り」
 
祈るのみ
ここにきてただ
祈るのみ
 
1月19日(月)晴れなし
4日目。今日はカテーテルで患部の血流を止める。まずは導尿管を入れる。これを意識がある時にされるのはつらい。なんとも言えぬ不快感。その後、点滴。造影剤を血管に流す場合、それだけだと濃すぎるので点滴も必要らしい。お次は内臓の動きを止める筋肉注射。これって痛いという話を聞いていたが先生の腕がいいのか思ったほどでもなかった。
いざ、放射線科へ。ストレッチャーで運ばれるというのも初めて。九大病院の天井が視界を過ぎてゆく。なんだかERの世界だな。放射線科に入ると設備のすごさにビックリ。人造人間の製造工場って感じ。ごっつい機械に囲まれて身体を固定された。仮面ライダー本郷猛はこんな気分だったのかとバカなことを考えている間に局所麻酔。これってなんとも不安なものがある。効いてるのか?途中で切れないか?とかいろいろ考えてしまう。感覚はないがなんだかごそごそやってる。途中何度もMRIで撮影する。なんだかんだで3時間。きっついねぇ。終わって病室に戻ってから絶対安静6時間。これが一番きつい。膝も曲げれないし寝返りもうてない。動かせるのは腕と首だけ。この体勢が長時間続くと腰痛が襲ってくる。カテーテルの傷口はなんともないがこの腰痛には6時間苦しめられた。水分をとれといわれたが、渡辺ラオウじゃあるまいし寝てる状態で飲んだり食べたりできるもんじゃない。むせて苦しくなるのでほとんど何も口にせずに6時間耐えた。解放された時は心底嬉しかった。
絶対安静中に「ウイルホーム」の太田社長が来てくれた。腰が痛かったので気が紛れて助かった。もうほんと太田社長にはお世話になりっぱなし。あぁいかに報いんこの大恩。
 
「安静」
 
安静の
胸中安静
ならずかな
 
1月18日(日)雨なし

3日目。外泊中に風邪を引いたら手術ができないのでずっと家で待機。そして夕方病院に戻った。
明日はカテーテルで患部の血流を止める。処置後6時間絶対安静。首は動かせるらしいから本は読めるか。パソコンに入れてきた映画でも見るか。
 
「こたつむり」
 
こたつむり
離れがたきは
我が家かな
 

1月17日(土)晴れなし
2日目。病院は暖かい。ちょっと暖かすぎるくらい。寝る時は掛け布団もいらないくらいだ。
 
同室の人たちの会話が面白い。何が面白いかというと古すぎて面白い。「井沢八郎はよかったねぇ〜」「あれは昭和何年頃やったろうかねぇ」「よぉ〜はやったもんねぇ〜」・・・みたいな会話。
テレビでやってる「コンバット」を見ながら、「見つかるなよぉ・・・」とハラハラしながら一生懸命に見てる。綾小路公麿のトークを聞いて「この人は面白いばい」と言いながらケラケラ笑ってる。微笑ましいものがある。
 
しかし食事のひどさはなんとかならんのか?これが「mishima」の大将とか、「浮岳茶寮」の女将さんとか、「松むら」の大将とかが作ったらは病状にプラスに働くと思うんだけどな。身体にいい食事は自然治癒力を増すわけだし。まぁでもこんな快適な環境で食事までうまかったら贅沢か。
 
土日外泊許可が出たのでちょっと一息つける。姫に迎えに来てもらって久留米へ。3軒のお店を取材。その後、アポイントがとれたので「尾道屋」さんに行った。まだ仕事してるし。
 
昼食は外食、夕食は姫の料理で栄養補給。一週間分食いだめができるといいのに。
 
「外気」
 
外泊で
おもふ外気の
うまさかな
 
1月16日(金)曇り時々雨なし
さぁついに入院だ。朝10時過ぎに九大へ。担当の看護師の紹介と入院に関する説明諸々を受けて病室へ。九大病院の新病棟なので設備が新しく、実に快適。こりゃ癖になるなぁと思ったが、出て来た昼食を食べて前言撤回。これは早く脱出しなければ!でもまぁこれを機会にダイエットするかと腹を決めた。
看護師も先生たちも親切な人ばかり。同じ病室の方たちは皆さんご高齢。とても静かな空間だ。向かいのベッドの方は親切にいろいろと教えてくれる。まぁ全体的にいい感じだ。ストレスなしの入院になりそうだ。
入浴は午前中から昼2時くらいまでににしないといけないので、病室に落ち着いたところでいきなり入浴。風呂もきれいだし、なんだか安い温泉宿にでもいるような気分。さっぱりした後、ゆっくりしようかと思ってもそうはいかない。何回も呼ばれていろんな検査。眠たいけど寝れない。
夕方は姫同席で手術の説明。先生が4人も!説明を聞いた感じでは、腫瘍を切開してみないとその後の形の修正をどうするかは決められないということだったが、概ねいい感じの形になるのではないかということだったので若干安心。唇の感覚が完全に戻るまでは半年から一年待たないといけないらしいが、形がよくなるなら待ちますがなそれぐらい。
なんとなく気分も明るくなったところで・・・あぁ、食事か・・・服役してると思ってここは我慢我慢。息をとめて飲み込む。御飯は姫が買ってくれた”御飯ですよ”で無理矢理腹に押し込む。でもやはり完食は無理だ。これは間違いなく痩せる。
パソコンを持参したので持って来た仕事を片付けないと。それが終わってからさぁ読書をしようと数ページ読むと・・・眠たい・・・いかん!今寝ては早すぎる!無理に起きて日記書き。あぁそんなこんなのえしぇ蔵初入院の第一日であった・・・。(つづく)

「初入院」
 
これもまた
いづれはネタか
初入院
 
1月15日(木)晴れEagles

今日は「あおば不動産」さんに社長のお姉さんが来られた。吉本興業所属コメディアンのトモさんのお母さん。アイガモ農法で有名な農学博士の古野さんのお知り合いで、一緒にアイガモ農法の普及のために活動されているらしい。ワシがESEグルメで紹介していることを言ったらすごく喜んでくれた。こうやって新しい出会い、新しいつながりが出来ていく時が一番生きてて楽しい瞬間かもしれない。水墨画の達人でもあるのでちょいと習おうかな、なんて。いや、それより旦那さんが蕎麦打ちの達人なんでそっちを習うべきだな。あぁ人脈は果てしなく拡がる。楽しいねぇ。
 
今日はなんとなく年末の仕事納めをもう一回繰り返しているような気がした。いよいよ明日から入院。既に姫がばっちり入院グッズを用意してくれている。帰宅したら「スリッパ買ってきたからはいてみて!はいてみて!」というので見てみたらこれだった。↓
 

 
リラックマかよ。これで九大病院の中を歩けってか。まったく。横でケラケラ笑ってやがる。
 
「リラックマ」
 
二週間
ともに暮らすか
リラックマ
 

1月14日(水)曇り時々雪Don Mclean
入院の御見舞いということで「粕屋のお客さん」が名画のDVDをどっさり貸して下さった。これはかなり嬉しい。入院中の暇つぶしに最適だ。パソコンでイヤホンつけて見よう。本もたくさん持って行くし、意外と退屈しないかもしれない。
 
いろんな人に励まされる。中には「祈ってます」と言ってくれる人もいる。身体の芯にじーんとくる言葉だ。同時に力も湧いてくる。大丈夫!ワシは治る!という気分にさせてくれる。明日は入院前最後の仕事。がんばらにゃね。
 
「灯油」
 
寒空に
垣根の垣根の
曲がり角
灯油を配る
車いずこに
 
1月13日(火)曇り時々雪Jimi Hendrix
入院まで秒読み段階に入った。いろんな人から励まし、御見舞い、アドバイスなど頂いて、つくづくワシは幸せ者だなと涙がちょちょぎれそうになる。みんなワシの回復を待ってくれてるんだからなるべく早く戦線復帰しないと!
来月から契約復活するお客さんが数社ある。新規で決まりそうなお客さんもある。そんなこんなで2月からはさらに忙しそうだ。たくさんの人に会う商売だからまともな顔になってくれればいいが・・・。
 
それにしても寒いな。冬が嫌だと思い始めてもう数年。昔は冬なんて全然平気だった。体温が高いからこれでも他の人よりは寒さには強いが、寄る年波かここ数年はこたえる。春が恋しい。あぁ春よ、早く来い。馬車に乗って早く来い。
 
「風呂」
 
粉雪や
風呂から出れぬ
情けなさ
 
1月11日(日)曇り時々雪Wolfgang Amadeus Mozart
明日成人式か。思えばワシもすでに2回目の成人式だな。
 
姫がクッキーを焼いた。家中いい匂いだ。
 
ワシ:「お!クッキーや。食べていい?」
姫:「いいよ。ハオレクッキーよ」
ワシ:「ふーん。お?えらい固いね」
姫:「そうよ。歯折れクッキーやもん。固かろ?」
 
なるほど。ケーハエサラダ(毛ぇ生えサラダ)に次ぐハオレクッキー(歯折れクッキー)か・・・。
 
M島さんの城めぐりの動画アルバムがついに完成した。DVDに入りきらないくらいの大作になった。いづれM島さんに許可を貰ってWEB用に小さくしたものを日記に掲載させて貰うかな。みんなビックリするはず。最後に企画・製作NHKと入れたら信じる人もいると思う。それぐらいすごい。
 
午後は「マツノデザイン店舗建築」さんへ。ワシはあっちでの会話、こっちでの会話、どれも楽しいがことにセガールしゃちょーとの会話は、
 
セガールしゃちょー:「ねぇしんぐさん、このモロゾフファイヤーフォックスてなに?」
ワシ:「わはははは!それ、モジラファイヤーフォックスですよ」
セガールしゃちょー:「え?あ、そうか。わはははは!」
ワシ:「わはははは!」
 
みたいな感じで特に楽しい。今日は社長の話でかなり勉強させてもらった。
 
セガールしゃちょー:「しんぐさん、なんかいいブログネタない?」
ワシ:「私はデザインの話とか聞きたいですね。」
セガールしゃちょー:「デザインの話ねぇ」
ワシ:「例えばなんで色は暖色系の方が購買意欲をそそるのか?とかね」
セガールしゃちょー:「なるほど」
ワシ:「あれはなんでですか?」
セガールしゃちょー:「例えばね、お店で同じジュースのキャップを赤いのと青いのとに分けて並べたら赤のほうが売れるとよ。それはね、暖色系の色が人間の脳に刺激を与えるとよ。食欲を起こさせるとかね」
ワシ:「へー!人間のしくみがそうなってるんですね?」
セガールしゃちょー:「そうそう。だから醤油のふたとか赤いのが多いのはそういう理由よ」
ワシ:「そういえば赤いですね!なるほど。そういう話をブログに書いて下さいよ」
セガールしゃちょー:「でも長くなるけんねぇ」
ワシ:「長くなってもいいじゃないですか。細切れにして連載すれば」
セガールしゃちょー:「あぁなるほどね」
ワシ:「デザインとは何か?っていうところからどうすか?」
セガールしゃちょー:「デザインとは何か?デザインとは整理することである」
ワシ:「おお!いい言葉ですね」
セガールしゃちょー:「デザインは飾ることではなく、整理することなんよ。無駄なものを省いていくことなんよ」
ワシ:「いいですねぇ。そういうの載せましょう。なんでイタリア人のデザインするものはいいのか?とか」
セガールしゃちょー:「デザインは国民性とか民族性とか、文化レベルでも違ってくるしね。そういうのは長い歴史の中で生活の中で育ってきて、DNAに染み込むとよね」
ワシ:「へー」
セガールしゃちょー:「イタリアがあんなに洗練されてるのは、俺は昔の王族がそういう文化的なものを奨励したけんやないかて思うけどね」

セガールしゃちょーはデザインの専門学校で講師をされているから、こういう話を直接聞けるなんてかなり贅沢な話だということに今更ながら気付いた。ありがたいことだ。しゃちょーに感謝・・・。(ありがとうございます!)
 
「早寝」
 
暖房費
かさんで今宵
早寝かな
 
1月10日(土)曇り時々雪Pink Floyd
ウイルホーム」さんの紹介のお客さんに挨拶に行って、その後「星香園」さんへ。今日はなんだかしんみりとした話になってしまった。牛島さんは10年前に大変な不幸を経験されている。今でこそワシらと冗談言い合って楽しそうにされているけど、当時は立ち直るのにかなり時間がかかったらしい。もし同じことがワシに起こったら果たして立ち直れただろうか?想像しただけでも視界がにじむ。牛島さんの笑顔には悲しみの流れに逆らって強く生きた者が、その歩みにおいて徐々に培った優しさを含んでいる。その経てきた苦悩やいかばかりか?今日の話で人として強く生きることは選択肢ではなく義務なのだと教えられたような気がする。
 
久留米のTOTOのショールームにて「江田建設」の江田専務と打ち合わせ。専務の勧めでオール電化にしたらどれくらい光熱費が節約されるかをシュミレーションしてもらった。うちは二人とも料理が好きだからキッチンを電化することは考えていない。お風呂を電化するだけならそんなに変わらないかもと思いつつやってもらうとこれがビックリ。それでも年間7万円は節約される。へー、知らんかった。ついでにいろいろ教えてもらった。一番電気代がかかる電化製品はホットカーペットだそうな!それからこたつやハロゲンヒーターなどもより電気を使うらしい。エアコンつけるほうが安いらしい。なんだかエアコンのほうが高いという先入観があった。これからなるべくエアコンを使うようにしよう。
 
帰りに「あい書林」さんへ寄った。
 
ワシ:「こんにちは」
おばちゃん:「あら、いらっしゃい」
ワシ:「寒いすね」
おばちゃん:「寒いわねー。あなたそんな薄着で大丈夫?」
ワシ:「はい。全然大丈夫です。いやー、相変わらず素晴らしいラインナップですね」
おばちゃん:「そんなに言って頂くとほんとに嬉しいわ」
ワシ:「いやぁ目移りしますもん」
おばちゃん:「初版、お安くしとくわ。どれも○○円でいいわ」
ワシ:「ええ!そんなに!いいんですか?」
おばちゃん:「いいのいいの。もうね、初版がいいっていう人は少なくなってきたから」
ワシ:「うちのあい書林さんの棚はだいぶ増えましたよ」
おばちゃん:「まぁ、ありがとうございます」
ワシ:「それにしても不思議ですよね。こういう本がゴミに見える人もいれば、宝に見える人もいるんですからね」
おばちゃん:「そうよね。その差はほんとに大きいわ」
 
しかしまぁ素晴らしい品揃え。まず真山青果の全集があったのにはビックリ。今これを買いたいという人がどれくらいいるだろう?井上靖、水上勉、石川達三はたっぷりある。丹羽文雄、野間宏、平林たい子、谷崎潤一郎、林芙美子、三島由紀夫、幸田文・・・あるわあるわ。堀田善衛もある、荒畑寒村まである!う〜ん、たまらんな。どれにするか・・・と見てると、あれれ?愛しのデコちゃん(高峰秀子)の本もある。よし、このデコちゃんともう1冊、丹羽文雄を買おう、ということで買って帰ったわけだが・・・あぁやらかした・・・丹羽文雄はもう読んでる作品だった・・・まぁいいや、初版コレクションということで並べておこう。
 
ところで、この辺で今年の年賀状を公開。今年は非常に出来がよかった。レッドクリフな2009年。
 

 
「薄雪」
 
薄雪や
茶の木に咲かす
白い花
 
1月9日(金)曇りArturo Benedetti Michelangeli
ハニーさんの娘さんはゆうこりんにそっくりということでえらい評判だが、ではどれくらい似てるかというのを検証しようではないかということでハニーさんと娘さんの了解をもらって写真を合成してみた。
 
これがオリジナルゆうこりん

 
そしてこれがハニーさんの娘さん

 
もしかしてオリジナルよりかわいいんじゃない?
ここまでのルックスっていうのはそうざらにいるもんじゃないからモデルかなにか、容姿を生かした仕事をしてはどうかと勧めたが本人はその気はないらしい。う〜ん、惜しい人材だ。
 
今日は「ウイルホーム」さん、「Rプランニング」さん、「東部ハウジング」さん、「ムラオ商事やひめ」さん。
ウイルホーム」の太田社長がまたお客さんを紹介してくれた。もちろん不動産。明日挨拶に行く予定。社長の年賀状じゃないけど感動感謝感激とはまさにこのこと。(社長ありがとうございます。)
 
今日は姫が「ベジキッチン」の新年会でお留守。いいなぁ。ワシも参加したいやね。さぞかしうまいもん食えることだろう。留守番用に姫が鰤大根を作っておいてくれてるのでそれでちょいと熱燗を三合ほど。四合かな?イギリスのグラナダTV製作の「シャーロック・ホームズ」を見ながらちびりちびり。いろんなことに興味を抱くワシだが、実はシャーロキアンでもある。ジェレミー・ブレットは残念ながら他界したが、今までで一番ホームズのイメージに近い役者だったと思う。今日のストーリーは「The Man with the twisted lips」(唇のまがった男)。ホームズは推理小説の基本だな。ロックでいうビートルズ、プレスリー、チャック・ベリー。これなくしてその世界を語れないってやつだ。
いい感じに酩酊したら音楽が聞きたい。ロックでもいいが今日はクラシックといこう。ミケランジェリのピアノなんかどうだ?いいねぇ。その調べを聴きながら、トーマス・マンの「ベニスに死す」を読むか。いいやねぇ。芸術だねぇ。
 
「酒」
 
身を溶かす
酒は詩想の
潤滑油
 
1月8日(木)曇りJanis Joplin
「しかし、それでも彼は幸福だった。なぜなら幸福とは、と彼は自分に言ってきかせた。愛されることではない。愛されるとは、嫌悪をまじえた虚栄心の満足にすぎぬ。幸福とは、愛することであり、また、時たま愛の対象へ少しばかりおぼつかなくも近づいていく機会をとらえることなのである。」(トーマス・マン 「トニオ・クレーゲル」)
 
いいねぇ、文学だねぇ、芸術だねぇ。

「プルデンシャル」から電話があって、良性腫瘍は手術給付金が出ないと言われた。え〜っと、保険会社って何する会社だっけ?ワシ今まで何のために払ってきたんだっけ?
 
本日は「ヘアーショップ ムーヴ」さん、「ブライダルミュージアム ビッビ」さん、「アルファホーム」さん、「センチュリー21 小笠原」さん、「ユーキハウス」さん。行く先々で今月後半は入院のためお休みしますとお詫びするわけだが、みんな本当に心配してくれるので頑張って完治せんといかんなぁと思う。聞いた話では九大病院の口顎外科は技術も対応もいいとのことでちょっと安心した。
 
「源氏物語」を誰の訳で読むかを検討中。やはり原文忠実で最も文学的な谷崎潤一郎かな。与謝野晶子の短歌付きもちょいと捨て難いが、まぁ後でそっちも読めばいいか。入院の時は姫の蔵書から「アンナ・カレーニナ」を持っていく予定。2週間だから当然足らんわな。何にしよう?
 
「愛すること」
 
今にして
愛することの
意味を知る
トーマス・マンの
言葉や重き
 
1月7日(水)曇りThe Doors
「新郷商会」さん、「三開発」さん、「太田自動車鈑金」さんとまわって、九大病院に検査に行った後、粕屋のお客さんを訪問。
 
三開発」さんでの会話。
 
としこさん:「対馬帰らないんですか?」
ワシ:「2月に帰る予定です」
としこさん:「対馬ってぇ・・・」
 ここででかい九州の地図を眺めるとしこさん
としこさん:「ここ?」
ワシ:「それは平戸です」
としこさん:「じゃぁ、ここ?」
ワシ:「それは西彼杵半島です」
としこさん:「わかった!ここでしょ?」
ワシ:「それは壱岐です」
としこさん:「え〜、どこぉ?」
ワシ:「その地図には載ってません(笑)」
としこさん:「対馬ってぇ、信号あるんですか?(笑)」
ワシ:「ありますよ!点滅や押しボタン式が多いですけど」
としこさん:「ふーん」
ワシ:「町から町に移動するのに一度も止まらないってことありますよ」
としこさん:「へー、そーなんだ。対馬の人って・・・みんななにしてるんですか?」
ワシ:「なにしてって?娯楽ですか?ないですねぇ」
としこさん:「わたし、前の会社の時に対馬出張所っていうのがあって、友達がそこに転勤になったことがあって、対馬は何にもないって言ってました」
ワシ:「ええ。ないですよ。コンビニもファーストフードも映画館もないですよ」
としこさん:「彼女、いい子だったのに・・・」
ワシ:「なんでそんなとんでもない所に行ったような言い方するんですか!(笑)」

九大病院では手術前の検査があった。血液検査とレントゲンと心電図と心肺機能。入院は16日から31日まで。手術は21日の早朝から。抜糸が28日。さぁもうここまで来たなら我が運命を神の手に。今更いろいろ考えてもしょうがない。これまさに天真に任すだな。
 
「白衣の人」
 
身を病んで
頼もしきかな
白衣の人
 
1月6日(火)晴れのち曇りThe Knack

 
「西遊記」全10巻を読み終わった。年末年始は三蔵一行と西天取教の旅を楽しむことができた。しかしまぁよくこれだけの長編を訳したな。中野美代子先生には脱帽。本当の西遊記がいかに奥が深いものかを知ることができた。およそ日本における「西遊記」とは異なる部分が多い。やはり一度は原書の翻訳を読んでおくべきだな。なにごともオリジナルが一番すごい。
 
今日は「ウイルホーム」さん、「住まいのイシダ」さん、「質みよし」さんとまわった。
どうも「ウイルホーム」さんと「住まいのイシダ」さんは病院に物件票持ってきそうだな・・・。
 
詩想コラージュ 2
「想い」
 
愉悦の殿上には
長くとどまることはできない
いづれは失望のきざはしを
自ら下りていく
殿下より見上げると
そこはより魅力を増して
双の瞳に映る
電球の光を返す白い壁
溶けていく詩想・・・
芸術、生活、情熱、冷静、
想いはめぐり
道をさがす
そこへ時の鳩が舞い降りて
今は待てという
 
1月5日(月)晴れThe Rolling Stones

さて、仕事始めだ。年末年始は「シメサバ」(自然に目が覚めるまで爆睡する)をきめこんでいたが、今朝はそういうわけにはいかんと早めに起きたら5時半だった。早過ぎやろ。ちなみに一度起きたけど二度寝して御飯まで更に爆睡することは「ゴマサバ」という。我が家にしかない言葉。
 
中国鍼灸院」さんで呉先生の鍼で心身ともに気合を入れて、「コスモ不動産」さん、「システムハウス」さん、「ユーキハウス」さん、「ランドリー・キッチン」さんとまわった。
今月は入院で休む分のやり繰りで通常より異常に忙しい。まぁ多少無理しても入院中に疲れはとれるか。
 
「初詣」
 
物憂げや
スーツ姿の
初詣
 

1月4日(日)晴れのち曇りFaces
「櫟屋」の朝食は和食。フレンチの翌日に和食というのがいつもながら嬉しい。バランスって大事よね。
朝食の後、周辺を散歩した。見下ろす湯布院の街が少し雲海になってた!なんと美しい・・・。あぁやっぱり湯布院はいい。この癒される感じは何なんだろう?
 
「櫟屋」を後にして、「小松家」のおはぎ(ここのおはぎはしゃれにならないくらいうまい。4つくらい食えそう)を買ってから湯布院を後にした。
時間も早いので下道でぼちぼちと。途中、天瀬で竹箸のお店に寄った。我が家はこのお店の箸を使っているが、小さいものでもつまみやすいので重宝してる。
うきはに入ってからは「ル・シュクル」さんへ。2日から営業されてるそうだがお客さんが多いとのこと。正月にケーキを食べたくなる心境わかるなぁ。もちろんワシらも今年初ケーキを・・・。
最後は「シェ・サガラ」でパンを食べてから帰宅。次の旅はどこだ・・・?
 

「湯布の里」
 
冬の空
くぬぎ林と
柱時計
また我さそふ
湯布の里かな
 
1月3日(土)晴れMstislav Leopol'dovich Rostropovich

なかなか同じ宿に二度泊まることがないワシらが、唯一何度も止まる宿が湯布院の「櫟屋」。今回たまたま予約がとれたのでいざ湯布院へ!これで7回目。
行きは下道にしようと途中まで頑張ったが、太宰府周辺のお参りの渋滞がひどかったので高速に切替えて一挙に湯布院へ。
 
まずは「玉の湯」のカフェでぼーっとお茶した。ここでは友永のアンパンを食べるころができるが、人気があるので売切れが心配。お店に入るとショーケースに1個しかなかったので、姫が「アンパンもう1個しかないんですか?」と訊いたら、「
これはディスプレーでございます」と言われた。
 
クラフトのお店を覗いた後、アルテジオに移動したらたまたま「ジョルジュ・ルオー展」をやっていたのでこれは見るべしと中へ。う〜ん、力強さがメッセージを強烈に前面に押し出している。神への信仰、平和への祈り、実にストレートに突き刺さってきた。素晴らしい。芸術かくあるべきか。
 


「櫟屋」へチェックイン。ここの雰囲気にはいつもながら癒される。立石さんはワシらのことを覚えてくれていた。こういうの嬉しいやね。一番風呂を頂戴した後、お待ちかねのディナー。立石さんの料理と上質のワイン、あぁ幸せ・・・。
 
 
食事の後はいつものくつろぎの部屋でクラシックを聞きながら読書。でもあまりの気持ちよさに眠たい・・・。
 

 
「名湯」
 
名湯や
どうでもよくなる
銭勘定
 
1月2日(金)晴れPeter Ilyich Tchaikovsky

 
さて、新年とくれば飛ばなければならない。今年はどこで飛ぶか?天気がいいのでどこぞの山に登って飛ぶということにして、向かったのは宗像の孔大寺山。1時間くらいで登れる軽い山なのでちょいと足ならしにいい感じ。登り始めの所にある古い石段を森林浴しながら歩くのは気持ちよかった。本にあったとおりにちょうど1時間で登り、昼食前に飛ぶことにした。今回はただ飛ぶのもつまらんので、ウエストサイドストーリー風に飛ぶことにした。例によって何度も失敗したあげく、ようやく一枚なんとかいいのがとれた。
 

そしてその写真をウエストサイドストーリーの写真に入れてみるとこうなる。
 

 
いいねぇ。ミュージカルファンの「粕屋のお客さん」に怒られそう・・・。
 
下山した後はお約束のお風呂。今日は満海の湯で海を見ながら。今日は波が荒くてサーファーがたくさんいた。
夜は鍋でワインを飲んでいい気分。連日飲みっぱなしだから今日はちょいと控えめに。
 
「パンの味」
 
パンの味
恋しき正月
二日かな
 
1月1日(木)雪のち晴れThe Rolling Stones
2009年最初の朝は雪景色だった。どこも白く薄化粧。いいねぇ、文学的な朝だねぇ。川端康成なら「朝の底が白くなった」とでも書くのだろうか?
 
めでたい正月とはいえ、特にすることもないので雑煮とおせちを食べた後は映画を見に行った。「The Rolling Stones Shine a light」もう最高にかっこよかった!ストーンズは絶対ライブに限る。あのサービス精神は素晴らしい。聞く側の魂を貫き通す旋律と迫力は、古ツワモノならではの貫禄によって助長され、感動の空間を築きあげる。あぁまさに至福の2時間だった。ただ元旦から映画見るなんて人はいないわけで、客はワシを含めておっさん4人!
 

 

 
対馬の姉から電話があって、早速初笑いを提供してくれた。
 
姉:「もえちゃんに来る年賀状にはね、『去年はもえちゃんのおかげでたくさん笑わせてもらいました』とかそういうことが書いてあるとよ。それも何枚も。この子よっぽど学校でやらかしよるちゃなぁて思うたよ」
ワシ:「ははぁ、そうとうやらかしよるばいね」
姉:「もう報告したいことがいっぱいあると。こないだもね、学校でことわざのテストがあったと。それでね、例えば、”能ある鷹は・・・”って書いてあってその続きを書かないけんと。それをね、もえこは”能ある鷹はえさをしとめる”とかね」
ワシ:「あははははは!」
姉:「それからね、”長いものには巻かれろ”はね、”長いものにはへびもある”とかね」
ワシ:「あははははは!」(←爆笑)
姉:「それからね、ちょっと待ってね、今本人がテスト出してきて見よるけん。ええとね・・・”亀の甲より年の功”はね、”亀の甲より浦島太郎”」
ワシ:「あははははは!」(←かなり爆笑)
姉:「もうね、職員室も大爆笑やったって。パパもね、腹かかえて笑ってからもう怒るどころやないと。”身から出たさび”は、”身から出た白身”とかね」
ワシ:「あははははは!」(←笑い過ぎで苦しい)
姉:「”三つ子の魂百まで”は、”三つ子の魂ここにあり”。わけわからんやろ?もう知らんなら書くなよ!って思うちゃけどねぇ。これも親が悪いとよねぇ。パパがあんまり心配やけん、インターネットでことわざ調べてくれてね、それを印刷してもえにあげたとよ。もえがそれを学校に持って行ったら、友達が『もえのお父さんの気持ちがよぉーわかる』て言ったて(笑)」
 
初笑いからいきなり一週間分くらい笑った。
 
「初笑い」
 
あたらしき
ことわざ聞いて
初笑い
 

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